ジストニア外来・ボトックス治療

眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頚などの病気は自分の意思と関係なく筋肉が収縮してしまうために生じる病気です。ここではQ&A方式で要点をまとめてみました。ご参考にして下さい。

Q1. 「眼瞼けいれん」って、どういう病気ですか?
Q2. 「眼瞼けいれん」の治療法は?
Q3. 「片側顔面けいれん」って、どういう病気ですか?
Q4. 「片側顔面けいれん」の治療法は?
Q5. 「痙性斜頚」って、どういう病気ですか?
Q6. 「痙性斜頚」の治療法は?
Q7. ボトックス注射とは?
Q8. 「職業性のクランプ(ジストニア)とは?

Q1. 「眼瞼けいれん」って、どういう病気ですか?

目の回りの筋肉が、自分の意思に関係なく収縮するために、まぶたが勝手に閉じてしまう病気です。目の違和感や痛み、ドライアイなどから始まり、まばたきが増え、だんだんと目があけてられなくなります。まぶしいと症状がひどくなるのでサングラスをかける人も多いです。「まぶたが重い」「まぶたが下がる」から「目が開けてられない」まで、さまざまな程度の患者さんがいます。眼をつぶってしまうという日常生活の問題だけでなく、精神的ストレスも強いものがあります。症状が強いと、足を踏み外したり、自動車事故をおこしたりすることもあり、要注意です。(患者さんによっては、口をモゴモゴする症状があり、この場合はメイジュ症候群といいます)

Q2. 「眼瞼けいれん」の治療法は?

治療は精神安定剤や、筋肉の緊張をとる薬などを飲む場合もありますが、さほど効果がない場合が多いです。ボトックスを眼の回りの筋肉に注射して、筋肉の緊張を緩和する治療が標準的です。
→ボトックス注射療法

Q3. 「片側顔面けいれん」って、どういう病気ですか?

片側の顔の筋肉(眼や口)がピクピクする病気です。典型的な症状では、ときどき眼の回りがピクピクッとすることから始まり、だんだんと口にもひろがっていきます。症状が強いと、片側の顔面だけしかめ面になり、眼が閉じてしまいます。一部の患者さんでは、顔面神経麻痺(ベル麻痺)の後遺症として出現する場合もあります。この病気の原因として、脳から顔面神経が出る部分で血管によって圧迫されるからだと説明されています。

Q4. 「片側顔面けいれん」の治療法は?

治療に関しては二つの方法(手術またはボトックス注射)があります。前者は、脳神経外科で行なわれ、顔面神経と圧迫している血管を離してやる手術です。後者はボトックスをピクピクしている顔面の筋肉に注射して、筋肉の緊張を緩和して痙攣をとめるものです。
→ボトックス注射療法

Q5. 「痙性斜頚」って、どういう病気ですか?

痙性斜頸は首の筋肉が自分の意思に関係なく(不随意に)収縮するために、まっすぐ向くことができなくなる病気です。頚がふるえるように動く場合から、横を向いたままの状態になる場合があります。頚の筋肉の緊張が持続するために、強い「こり」や痛みが生じます。

Q6. 「痙性斜頚」の治療法は?

治療は精神安定剤や、筋肉の緊張をとる薬などを飲む場合もありますが、さほど効果がありません。ボトックスを頚のの回りの筋肉に注射して、筋肉の緊張を緩和する治療が標準的です。
→ボトックス注射療法

Q7. ボトックス注射とは?

ボトックスは、ボツリヌス筋の毒素成分を精製したものです。これは、神経と筋のつながり(神経接合部)を断ち切る作用があります。通常のブロック注射と異なり、筋肉を麻痺させる効果が数ヶ月持続します。適当量使用することによって、軽い麻痺が生じるので筋緊張が緩和されて治療効果が発揮されます。

美容目的に「しわとり」に使用されることもあるようですが、神経内科では「眼瞼けいれん」「片側顔面けいれん」「痙性斜頸」「上下肢の痙縮」のみだけを保険診療で治療します。職業性クランプ(書痙を含む)に対してはボトックス注射を行いませんのでご注意ください。

Q8. 「職業性のクランプ(ジストニア)とは?

字を書くとき、ワープロをタイプするとき、などに指が曲がったり捻じれて動かなくなったり、力が入ったり、激しく震えたりすることがあります。これは局所性ジストニア(職業性クランプ)と呼ばれているジストニアの一種です。ピアニスト、バイオリニスト、管楽器奏者などでの演奏中に類似の症状が出現することがあります。精神的なもの、ストレス、腱鞘炎、などと診断されていることもありますから要注意です。
→職業性クランプ(局所性ジストニア)の関してのもっと詳しい解説のページはこちら

クリニックからのメッセージ

眼瞼けいれん、片側顔面けんれいん、痙性斜頚ともに自分の意思とは関係なく勝手に筋肉が収縮してしまうためにおこる病気です。専門的にはジストニアと呼ばれます。ジストニアの原因はよくわかっていませんので、治療法がなかったのですが、ボトックス(ボツリヌス・トキシン)注射療法によって症状を軽くすることができるようになりました。お悩みの方は是非、神経内科専門医によってボトックス治療を受けられてください(注意:ボトックス注射は、神経内科以外にも、一部の眼科や脳神経外科の先生も行っています)。
書痙や、音楽家のクランプ、職業性クランプなどの局所性ジストニアに関しては、ボトックスは保険適用になりません。治療の難しい症状ですが、局所麻酔薬によるブロックや手指の感覚と運動の関係を再学習するリハビリ (sensory-motor retuning) などを根気よく行っていく治療方法が模索されています。